妊娠/授乳関連骨粗鬆症
pregnancy and lactation associated osteoporosis
・ 骨粗鬆症とは
・ お母さんも骨が脆くなる?
・ 骨密度を測るには
・ 骨密度の数値の意味
・ 妊娠後骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症という疾患はご存知でしょうか?骨が脆くなる高齢の方に多い病気です。簡単に説明すると加齢と閉経によるホルモンバランスの変化が中心で起きる病気です。骨が脆くなると(骨密度が下がると)ちょっとした事で骨が折れやすくなってしまうことがあります。
骨粗鬆症という疾患はご存知でしょうか?骨が脆くなる高齢の方に多い病気です。簡単に説明すると加齢と閉経によるホルモンバランスの変化が中心で起きる病気です。骨が脆くなると(骨密度が下がると)ちょっとした事で骨が折れやすくなってしまうことがあります。
骨密度とは??
骨密度は骨の強さを表す数字です。骨は『骨質』という軸と『骨密度』で構成されています。図のように鉄筋コンクリートで例えられることが多く、骨質は鉄筋部分、骨密度はコンクリート部分と考えるとわかりやすいかと思います。骨粗鬆症はこの両方が脆くなる疾患です。
骨密度は骨の強さを表す数字です。骨は『骨質』という軸と『骨密度』で構成されています。図のように鉄筋コンクリートで例えられることが多く、骨質は鉄筋部分、骨密度はコンクリート部分と考えるとわかりやすいかと思います。骨粗鬆症はこの両方が脆くなる疾患です。
妊娠中に赤ちゃんの骨を作るため
お母さんの骨からカルシウムが移動する。
産後の授乳で赤ちゃんが大きくなるために
カルシウムの多く授乳を介して移動する。
ホルモンバランスの変化で
骨が流出しやすくなる。
出産後に骨が脆くなる骨粗鬆症になってしまうお母さんがおられます。簡単に原因を分けると下記のようになります。これらの理由は赤ちゃんが元気に育つために起きることなので元から病気であったというよりは妊娠出産による生理的な側面が大きいです。
妊娠中に赤ちゃんの骨を作るため
お母さんの骨からカルシウムが移動する。
産後の授乳で赤ちゃんが大きくなるために
カルシウムが多く移動する。
ホルモンバランスの変化で
骨が流出しやすくなる。
骨粗鬆症の診断は骨密度の数値が非常に重要です。骨密度は簡単にいうと骨の強さです。図に示したようにいくつか検査の種類がありますが最も正確で精密なのは腰骨と大腿の骨を計測するDEXA(デキサ)法です。当院ではこの機器を設置しており正確な診断を行うことが可能です。
骨粗鬆症の診断は骨密度の数値が非常に重要です。骨密度は簡単にいうと骨の強さです。図に示したようにいくつか検査の種類がありますが最も正確で精密なのは腰骨と大腿の骨を計測するDEXA(デキサ)法です。当院ではこの機器を設置しており正確な診断を行うことが可能です。
超音波法(腕)
腕の骨を使って超音波で計測する機器です。簡単に扱えるのですがかなり精度が悪く、実際より高い数字や低い数字が出たりします。この検査で低い場合は必ず精密検査をお勧めいたします。
超音波法(踵)
踵の骨を使って超音波で計測する機器です。簡単に扱えますが腕よりも精度が高く、市町村で行われる健診でよく使用されています。これで低い場合はかなり注意が必要と思われます。
DXA法(腕)
微量のレントゲンを使用して測定する方法です。腕の骨で計測でき、スペースが狭くても使用できます。ただし腕の骨は細く、正確な計測ができないことが多いため骨粗鬆症学会でも推奨されません。
DXA法(背骨・大腿骨)
微量のレントゲンを使用して測定する方法です。背骨と大腿骨で計測する大型の検査機器です。最も精密に検査ができ、正確な数値が出ます。学会もこの検査数値を診断基準として扱うよう推奨します。
一般的にはYAM値という20歳成人と比較した場合の割合を表す数字で評価していきますが、お母さんの場合はSAM値と言う数値を参考に診断しております。
YAM値 | 状態 |
80%以上 | 通常 |
70~80% | 骨量低下 |
70%未満 | 骨粗鬆症の診断 |
一般的にはYAM値という20歳成人と比較した場合の割合を表す数字で評価していきます。
YAM値 | 状態 |
80%以上 | 通常 |
70~80% | 骨量低下 |
70%未満 | 骨粗鬆症の診断 |
骨密度が低いからといって過度に心配する必要はありませんが、日々の生活に気を付けることが一番大事です。適切な栄養と適度な運動が投薬よりも最も重要です。骨密度が70を切る場合は重症度により治療の内容が変わっていきます。下記のような選択肢がありますが、人により選択肢が変わるため詳しくは主治医にご相談ください。
① 適切な栄養
骨の育成に重要な栄養素であるカルシウムは食事から摂取するのが理想的です。しかし1日に必要なCa量は非妊娠・授乳時よりも多く必要なので良質なサプリメントを利用することも良いです。しかしCaだけ摂取すればいいという訳ではなく基本はバランス良くを心がけましょう。マグネシウムをはじめ、さまざまな栄養素が骨の形成や維持に絡んでおり、バランスの良い食事が最も重要です。カルシウムの補充も薬などだけだと心血管系の疾患の発症リスクが高くなると言う報告もあるため食事からの摂取が非常に重要です。
② 適切な運動
③ 日光浴
適度な日光浴は皮膚でのビタミンDの生成を促します。ビタミンDによってカルシウムが吸収されやすくなります。お子様との散歩などの際に手の甲だけを露出して日光を浴びるだけで十分な効果があります。日焼け止めなどを塗ると意味がないため適度なスキンケアを行いながら日光浴を心がけましょう。全身にひたすら浴びる必要はないので、お顔などは十分な日焼け対策はしておきましょう!
④ 投薬治療
骨密度70%を下回る場合や骨折が起きてしまった場合は投薬での治療が必要になることが多いです。投薬も下記に示すようにいくつか種類がありますが次子をご検討されている場合は使いにくい薬もあり、母乳への影響も確認されていないため妊娠後骨粗鬆症の治療経験のある主治医の方針に従っていただくことが大事かと思われます。副作用も注意が必要です。
また骨質の強化は現在は限られたCTでしか評価できません。骨密度がすぐに上昇せずとも骨質の強化が進んでいることも多いため、数値がうまく上がらなくても極端に心配する必要はありません。上記の基本的な生活を意識していくことが非常に重要です。
・ビタミンD (エディロールなど)
日光暴露で代用できるため、使用は検討が必要。
・ビスホスホネート剤 (ボナロンなど)
懐妊の可能性がある場合は胎児の影響が大きい。
使用すると半年は懐妊しない方が良い。
・SERM (ビビアントなど)
断乳による効果の方が高いため推奨度が低い。
・PTH製剤 (テリパラチド:フォルテオなど)
骨折疼痛抑制のエビデンスあり、骨癒合促進効果が
期待できるため骨折がある時に使うことが多い。
骨折がなければ必ずしも必要ではない。
・分子標的薬 (デノスマブ:プラリア)
あまり授乳の関連性が調べられておらず半減期
が長く使いにくいが近年調査が進められている。
⑤ 断乳
極めて高度な骨密度低下や脊椎骨折が起きてしまった場合の手段です。断乳を行うことで授乳によるカルシウム漏出を防ぎ、ホルモンバランスの調整を行うことで骨密度の上昇を狙う手段です。適切に行えば効果が大きい手段ですが、個人ごとの事情や気持ちを考えて行うべき治療です。主治医の先生としっかり相談することをお勧めいたします。当院ではしっかりと相談しお母さんの希望を聞いた上で決定しております。
当院では妊娠後骨粗鬆症の検査と診断、治療を健康保険適応で行なっております。妊娠後骨粗鬆症が原因で骨折された方の治療経験も多くあり、心配な方はご遠慮なく受診いただければ対応させていただきます。
あわ整形外科クリニック
産前産後疼痛外来の紹介
▶︎ 産前産後 疼痛外来について
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