整形外科コラム
medical Colum
四十肩・五十肩とは?
このコラムで学べること
⚫︎四十肩・五十肩のメカニズム
⚫︎痛みの段階とそれぞれの時期の対処法
⚫︎受診すべきタイミングと治療
朝、腕を上げようとしたら激痛が走った。夜中に肩の痛みで目が覚める。腕が上がらなくて着替えも一苦労…。
そんな症状を「年のせい」と放置していませんか? それは四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)かもしれません。
この記事では、整形外科専門医の監修のもと、四十肩・五十肩の原因・症状・進行ステージ・治療法・日常生活での注意点をわかりやすく解説します。
四十肩・五十肩とは何ですか?
四十肩・五十肩は、肩関節を包む組織(関節包・滑液包・腱板周囲)に炎症が起き、痛みと可動域制限が生じる疾患です。正式名称は「肩関節周囲炎(けんかんせつしゅういえん)」といいます。
なぜ「四十肩」「五十肩」と呼ぶの?
40〜60代に多く発症することからこの通称が定着しました。医学的には同じ病態を指しており、呼び名に明確な違いはありません。片側だけでなく、時間をおいて反対側にも発症することがあります。
どんな人がなるのか?
- 推定有病率は成人の2〜5%程度
- 40〜70代に多く、50代がピーク
- 男女差はほとんどなく、利き手側に多い傾向
- 糖尿病がある方は発症リスクが高いとされる
四十肩・五十肩の原因は何ですか?
加齢による肩関節周囲組織(腱板・関節包・滑液包)の変性・炎症が主な原因です。一度の大きな外傷がなくても、ゆっくりと進行するのが特徴です。
- 加齢による肩の組織の変性(コラーゲン減少・血流低下)
- 長時間のデスクワークや不良姿勢による肩への負荷蓄積
- 糖尿病・甲状腺疾患・高脂血症などの全身疾患
- 過去の肩の外傷・手術後の拘縮
- 運動不足による筋力低下と柔軟性の低下
四十肩・五十肩の症状・進行は
四十肩・五十肩は「炎症期・拘縮期・回復期」の3段階で進行します。ステージによって症状も治療アプローチも異なります。
著名な激痛を伴う場合は石灰性肩板炎という別の疾患の可能性があります。
① 炎症期(急性期):1〜数か月
- 安静時痛・夜間痛が強く、睡眠が妨げられることが多い
- 少し動かすだけで激痛が走る
- 局所の熱感・腫れを伴うこともある
② 拘縮期(慢性期):数か月〜1年程度
- 強い痛みは落ち着くが、腕が上がらない・後ろに回せないなど可動域が著しく低下
- 日常動作(着替え・洗髪・高いものを取る)が困難
③ 回復期(解凍期):数か月〜1年以上
- 少しずつ可動域が広がり、痛みが軽減していく
- 適切なリハビリを行うことで回復を加速できる
- 放置すると可動域制限が残存するケースもある
治療法にはどんなものが?
保存療法(主な治療)
- NSAIDs(消炎鎮痛薬):炎症期の疼痛コントロール
- 関節内注射(ステロイド・ヒアルロン酸):炎症抑制・潤滑改善
- 理学療法(リハビリ):可動域拡大・筋力強化・姿勢改善。拘縮期以降に特に重要。
- 物理療法:温熱・電気刺激・超音波治療による疼痛緩和
リハビリの重要性
肩関節周囲炎の回復期において、リハビリテーションは可動域を取り戻すための核心的な治療です。自己流のストレッチは炎症期には逆効果になることがあるため、理学療法士の指導のもとで安全に進めることを推奨します。
よくある質問
Q.自然に治りますか?
50%程度はは時間をかけて改善しますが、治療なしに放置すると拘縮(肩の動きの制限)が残るリスクがあります。拘縮が残ると動きがずっと悪いままになることも多く、特に拘縮期のリハビリは回復の質に大きく影響するため、整形外科での診察とリハビリを強くお勧めします。
Q. ただの肩こりはどう違う?
肩こりは主に筋肉の緊張による症状で、腕を上げる動きに制限はほとんどありません。一方、四十肩・五十肩は関節そのものの炎症・拘縮であり、「腕が上がらない」「後ろに回せない」などの可動域制限が特徴です。夜間痛がある場合は四十肩・五十肩の可能性が高いです。
Q. 注射(ステロイド注射)は何度もできる?
ステロイド注射は炎症抑制に効果的ですが、頻回投与は組織へのダメージリスクがあるため、回数・間隔について医師の判断に従うことが重要です。また場合によりハイドロリリースが効果的なことがあります。
Q. 手術が必要になることはありますか?
四十肩・五十肩のほとんどは保存療法(薬・注射・リハビリ)で対応できます。長期間(6か月以上)適切な治療を行っても高度な拘縮が残る場合に、関節鏡による手術が検討されることがあります。またサイレントマニピュレーションという手段で手術なしで可動域改善を行うことも可能です。
Q.反対側になることもある?
あります。片側が発症してから数か月〜数年後に反対側に発症するケースが一定割合で報告されています。片側が回復したからといって、反対側のケアを怠らないことが大切です。
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