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整形外科コラム

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監修/あわ整形外科クリニック院長 阿波康成
整形外科専門医/骨粗鬆症認定/産前産後整形外科医
 

妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)
を予防するために


 
このコラムで学べること
  • 妊娠前から始めるべき骨の土台づくりとは
  • 妊娠中のCa.VitD摂取の具体的な目安
  • 産後授乳期に骨を守るために意識すべきこと
  • PLOの早期発見につながるポイント
  • なぜ「症状が出てから」では遅いのか
妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)は、適切な知識と習慣で発症リスクを下げられる可能性があります。本記事では、妊娠前・妊娠中・産後授乳期の各ステージで実践できる予防的アプローチを、栄養・運動・骨密度管理の観点からエビデンスに基づいて解説します。
 

『大阪市西区の整形外科 あわ整形外科クリニック』

公開日2026年5月28日

PLOは「なってから治す」より
「ならないために備える」

妊娠前の骨づくりが、PLO予防の
最大の土台になるのはなぜ?

PLO予防において、最も重要な時期のひとつが「妊娠前」です。妊娠・授乳期には骨からカルシウムが急速に失われますが、その影響を最小限に抑えるには、妊娠前の時点で十分な骨密度と骨質を確保しておくことが不可欠です。
骨密度は20代後半〜30代前半にピークを迎え、その後は緩やかに低下します。つまり、妊娠を迎える年齢が高くなるほど、もともとの骨密度の貯金が少ない状態でスタートすることになります。
やせ型体型・長期の低栄養・過度なダイエット歴・運動不足・喫煙・過度の飲酒は、妊娠前の骨密度を低下させる代表的な因子です。
 
妊娠を考えている方は、こうした生活習慣の見直しを早めに始めることがPLO予防の出発点となります。また、過去に疲労骨折を経験したことがある方や、月経不順の既往がある方は骨密度が低い可能性があり、妊娠前に一度骨密度を測定しておくことも有用な選択肢です。

妊娠中の栄養補充、正しい摂り方は?

妊娠中は母体から胎児へのカルシウム移行が増加し、骨からの動員も起こります。この時期の栄養摂取はPLO予防に直結するため、量と質の両面で意識することが重要です。
 
日本の「日本人の食事摂取基準2020年版」では、妊娠中のカルシウム推奨量は1日650mgとされていますが、骨粗鬆症学会のガイドラインでは骨を守る観点から1日800〜1000mgを目安とする考え方も示されています。乳製品・小魚・大豆製品・緑黄色野菜などをバランスよく摂り、不足する場合はサプリメントでの補充も検討します。
 
ビタミンDはカルシウムの腸管吸収を促進する重要な栄養素です。日照時間が短い生活環境や、室内にいる時間が長い妊婦では不足しやすく、1日800〜1000IUの補充が推奨されます。食事からはサーモン・サバ・きのこ類・卵黄などから摂取でき、日光浴(1日15〜30分程度)も有効です。
 
なお、ビタミンDの過剰摂取は胎児に影響する可能性があるため、サプリメントを使用する際は用量を守り、必要に応じて医師に相談することが大切です。

産後・授乳期に骨を守るために何ができるの?

授乳期は、PLO発症リスクが最も高まる時期です。
授乳によってプロラクチンが上昇しエストロゲンが低下すると、骨吸収が亢進し骨密度が急速に低下します。この時期の予防的取り組みは発症リスクの軽減に寄与すると考えられています。
 
栄養面では、妊娠中と同様にカルシウム・ビタミンDの十分な摂取を継続することが基本です。授乳中はカルシウムの需要がさらに高まるため、意識的な食事管理が求められます。授乳婦のカルシウム推奨量は1日650mg(食事摂取基準2020)ですが、骨保護の観点では1000mgを目標とすることも合理的です。
 
運動については、荷重運動(ウォーキング・スクワットなど)が骨への機械的刺激となり、骨密度維持に貢献します。産後の体力回復を見ながら、無理のない範囲で日常的な歩行を習慣化することが勧められます。ただし、育児疲労や睡眠不足が重なりやすい時期でもあるため、「できる範囲で継続する」という姿勢が現実的です。
 
また、授乳期間の長さとPLOリスクについては、長期授乳が骨密度低下の期間を延長するとする報告がある一方、授乳後の回復も多くの場合は認められることから、授乳自体を否定するものではありません。重要なのは、授乳期間中の栄養管理と定期的なフォローです。

「腰や背中が痛い」は見逃さないで。早期受診が予防の最後の砦

PLOの発症は、多くの場合「産後の腰背部痛」として最初のサインが現れます。しかし産後の腰痛は育児疲れや姿勢の問題と混同されやすく、骨の問題として認識されないまま受診が遅れるケースが少なくありません。
以下のような症状がある場合は、整形外科への受診を検討してください。
 

  • 産後から続く腰・背中の痛みで改善しない
  • 軽い動作で強い痛みが走る
  • 身長が以前より低くなった気がする
  • 妊娠中から腰背部痛が続いている

 
これらはPLOや関連する椎体骨折のサインである可能性があります。早期に骨密度測定・骨代謝マーカー検査を受けることで、進行を食い止める治療を早期に開始できます。
 
「出産・育児で体が変わるのは当たり前」と思って痛みを我慢し続けることは、骨の状態をさらに悪化させるリスクにつながります。気になる症状があれば、早めに専門医に相談することが最善の予防策のひとつです。
あわ整形外科クリニックでは、産後の腰背部痛・骨密度低下が気になる方への骨密度測定や血液検査を含む評価を行っています。「まだ大丈夫」と思わず、気になった時点でお気軽にご相談ください。
 
なお、PLOのメカニズムやリスクファクター、また発症後の薬物療法については別コラムで詳しく解説しています。あわせてご覧いただくことで、PLOへの理解がより深まります。


よくある質問

Q.PLOは予防できますか?完全に防ぐ方法はあるの?

 
PLOを100%予防する確立された方法は現時点ではありませんが、妊娠前からの骨密度の維持・妊娠中・授乳期のカルシウムとビタミンDの適切な補充・適度な荷重運動の継続によって、発症リスクを下げられる可能性があります。
特にやせ型・低栄養・運動不足などのリスクがある方は早めの対策が重要です。

Q.妊娠中にカルシウムのサプリメントを飲んでも大丈夫?

 
一般的に妊娠中のカルシウム補充は安全とされており、食事だけで推奨量を満たせない場合はサプリメントの活用も有用です。
 
ただし過剰摂取は高カルシウム血症などのリスクがあるため、1日の上限を超えないよう注意し、必要に応じて産科医・整形外科医にご相談ください。
 
とは言えバランスが大事ですので食事から摂取することが最も理想です。

Q.授乳をやめればPLOの予防になりますか?

 
授乳中止はPLOのリスク軽減に寄与する可能性がありますが、授乳そのものを否定するものではありません。
授乳を継続しながらも、十分な栄養摂取・定期的なフォローを行うことで、多くの場合は産後に骨密度が自然回復します。
ただし症状がある場合や骨密度が著しく低い場合は、専門医と相談のうえで授乳継続の可否を判断することが勧められます。


 
 

監修/あわ整形外科クリニック院長 阿波康成
整形外科専門医/骨粗鬆症認定/産前産後整形外科医
 

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