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整形外科コラム

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監修/あわ整形外科クリニック院長 阿波康成
整形外科専門医/骨粗鬆症認定/産前産後整形外科医
 

妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)
になりやすい人の特徴とは?


 
このコラムで学べること
  • PLOのリスクを高める体型
  • 体質的な要因
  • 栄養状態や生活習慣がPLOに与える影響
  • 薬剤使用歴、妊娠歴がリスクになるケース
  • 受診を検討すべき症状のサイン
妊娠・授乳期に発症する骨粗鬆症「PLO」は、若い女性でも椎体骨折を引き起こします。本記事では、PLOになりやすい人の体質・栄養状態・生活習慣・薬剤使用歴などのリスク因子を、最新の医学的エビデンスをもとに詳しく解説します。
 

『大阪市西区の整形外科 あわ整形外科クリニック』

公開日2026年5月27日

PLOは「なりやすい人」がいる—
あなたのリスク因子は?

体型・体質・家族歴はPLOのリスクに関係しますか?

PLOのリスク評価においてまず注目されるのが、もともとの骨量の低さです。骨量には遺伝的な影響が大きく、両親や祖父母に骨粗鬆症・骨折歴がある場合、ピーク骨量(骨量が最大になる20〜30代前半の値)が遺伝的に低い可能性があります。
国際骨粗鬆症財団(IOF)のガイドラインでも、骨折の家族歴は独立したリスク因子として明記されています。
 
体型面では、BMI18.5未満の低体重・やせ型がリスクと関連します。
Soyka et al.(2000, Osteoporosis International)の報告では、PLO症例の多くが低BMIであったことが確認されており、体脂肪が少ない分エストロゲン産生が低下し骨保護作用が弱まることが背景にあります。日本人女性は欧米女性と比べてもともとBMIが低い傾向があるため、注意が必要です。
 
また、思春期に無月経や月経不順の既往がある方も要注意です。無月経期間中はエストロゲンが慢性的に低い状態が続くため、ピーク骨量に到達する前に骨量の蓄積が阻害されます。
摂食障害の既往がある場合も同様に、骨密度が平均より低い状態で妊娠・授乳期を迎えるリスクがあります。

Ca・VitD不足はどのくらい
PLOに影響する?

栄養面では、カルシウムとビタミンDの長期的な摂取不足がPLOの重要なリスク因子として位置づけられています。妊娠・授乳期には胎児や乳児のために母体から大量のカルシウムが動員されますが、そもそもの貯蓄が少なければ骨への打撃はより大きくなります。
日本人女性のカルシウム摂取量は推奨量(650mg/日)を下回るケースが多く、厚生労働省の国民健康・栄養調査でも慢性的な不足が指摘されています。
ビタミンDについても、国内の調査では成人女性の多くが不足〜欠乏レベルにあると報告されており、両者の不足が重なると腸管でのカルシウム吸収効率が著しく落ちます。
 
ビタミンDは食事からだけでなく、紫外線を受けた皮膚でも合成されます。そのため、屋内勤務が中心・日焼け止めを常用・外出機会が少ないといった生活スタイルは、食事由来の不足と重なりやすく注意が必要です。
妊娠前からの食生活の見直しが、PLO予防の観点からも推奨されます。

生活習慣や薬剤の使用歴が
PLOのリスクになることはある?

生活習慣の中でも、喫煙はエストロゲンの代謝を促進して骨保護作用を低下させるとされており、Kanis et al.(2005, Journal of Bone and Mineral Research)では喫煙が骨折リスクの独立した予測因子であることが大規模研究で示されています。
過剰なアルコール摂取やカフェインの習慣的な多量摂取も、カルシウムの吸収低下・尿中排泄増加を通じて骨代謝に悪影響を及ぼします。
 
運動習慣の乏しさも見逃せない要因です。骨は荷重・筋収縮による物理的刺激を受けることで形成が促進されます。デスクワーク中心・運動習慣なしの生活が続いていると、骨に対するメカニカルな刺激が不足してピーク骨量が低くなりやすいことが知られています。
 
薬剤使用歴として特に注意が必要なのがヘパリンです。深部静脈血栓症や習慣流産リスクのある妊婦に使用される抗凝固療法ですが、ヘパリンの長期使用は骨芽細胞の活性低下と破骨細胞の活性増加を引き起こし、骨密度を有意に低下させることが報告されています
。妊娠中にヘパリン療法を受けた方は、産後に整形外科での骨密度評価を検討する価値があります。ステロイド薬の長期使用歴がある場合も同様にリスクが高まります。

妊娠・授乳の回数や間隔はPLOのリスクに影響しますか?

妊娠・授乳の経験そのものがリスク因子になりうる点も、PLOの特徴のひとつです。授乳期間が長くなるほど母体骨からのカルシウム動員量は積み上がります。
Kalkwarf & Specker(2002)の研究では、授乳中の骨密度は腰椎で3〜9%低下することが確認されており、授乳期間の長さがその度合いと関連することが示されています。
さらに問題になるのが、妊娠・出産を短期間に繰り返すケースです。
通常、授乳終了後6〜18か月で骨密度はある程度回復するとされていますが(Karlsson et al., 2005)、骨量が十分に戻る前に次の妊娠に入ると、回復途中の骨が再びカルシウム動員にさらされることになります。
2回目・3回目の妊娠でPLOを発症するケースや、骨折リスクが累積的に高まるケースが報告されているのはこのためです。
 
初産よりも経産婦のほうがリスクが低いという報告がある一方、上記のような妊娠間隔の短さや授乳期間の長さが重なる場合は、経産婦でも油断できません。PLOの既往がある場合は、次回妊娠前に必ず整形外科・産婦人科への相談を行うことが重要です


よくある質問

Q.やせ型でも妊娠前に対策をすれば、PLOのリスクを下げられますか?

 
は可能です。ピーク骨量は遺伝だけでなく、妊娠前の栄養・運動・生活習慣によっても大きく変わります。カルシウム・ビタミンDの積極的な摂取、荷重運動の習慣化、禁煙などを妊娠前から実践することで、骨の「貯金」を増やしておくことができます。気になる方は妊娠前に骨密度を一度測定しておくと、自分の現状を把握するうえで参考になります。

Q.ヘパリンを使っていた場合、産後にどのような検査を受ければよいですか?

 
DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)による骨密度測定が基本です。腰椎と大腿骨頸部の骨密度をYAM(若年成人平均値)と比較することで、骨粗鬆症や骨量減少の有無を評価できます。
腰背部痛がある場合はMRIで椎体骨折の有無も確認します。整形外科への相談をお勧めします。

Q.PLOの既往がある場合、次の妊娠は避けるべきですか?

 
PLOの既往があっても次回妊娠が一律に禁忌というわけではありませんが、骨密度の回復状況・骨折の治癒・治療薬(ビスホスホネートなど)の休薬期間などを総合的に考慮する必要があります。
整形外科・産婦人科の双方と連携しながら妊娠のタイミングを慎重に検討することが、母体と赤ちゃんの両方にとって大切です。


 
 

監修/あわ整形外科クリニック院長 阿波康成
整形外科専門医/骨粗鬆症認定/産前産後整形外科医
 

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