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整形外科コラム

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監修/あわ整形外科クリニック院長 阿波康成
整形外科専門医/骨粗鬆症認定/産前産後整形外科医
 

妊娠授乳関連骨粗鬆症とは?
産後の腰背部痛に隠れた疾患


 
このコラムで学べること
  • 妊娠授乳関連骨粗鬆症とは?
  • なぜ授乳期に骨密度が低下する?
  • PLOの症状とリスクが高い人がわかる
  • いつ整形外科への受診したらよい?
妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)は、妊娠中から授乳期にかけてカルシウムやホルモンバランスの変化により骨密度が急激に低下する疾患です。産後の腰痛や背中の痛みとして見過ごされることも多く、早期の気づきと適切な対応が将来の骨の健康を守るカギとなります。

『大阪市西区の整形外科 あわ整形外科クリニック』

公開日2026年5月8日

妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)

妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)とはどのような疾患なのか?

妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO:Pregnancy and Lactation-associated Osteoporosis)は、妊娠後期から授乳期にかけて骨密度が著しく低下し、骨折リスクが高まる疾患です。一般的に骨粗鬆症というと高齢女性に多いイメージがありますが、PLOは20〜40代の若い女性にも起こりうる点が大きな特徴です。
もともと骨は常に「骨をつくる働き(骨形成)」と「骨を溶かす働き(骨吸収)」のバランスで維持されています。妊娠・授乳期にはこのバランスが崩れやすくなり、特に胎児や母乳を通じて大量のカルシウムが失われることで、母体の骨密度が急速に低下することがあります。
PLOは決して珍しい疾患ではありませんが、産後の腰痛や背中のつらさとして見過ごされやすいため、診断が遅れるケースが少なくありません。「産後だから仕方ない」と放置せず、正しく理解しておくことが重要です。

なぜ妊娠・授乳中に骨密度が低下するのか?

PLOが起こるメカニズムは、主に「カルシウムの急激な移動」と「ホルモンの変動」という2つの要因によって説明されます。
 
まず妊娠中、胎児の骨や歯の形成のために、母体から1日約300mgものカルシウムが胎盤を通じて移行します。さらに授乳中は、母乳を通じて1日200〜400mgのカルシウムが消費されます。この長期にわたるカルシウムの流出が、母体の骨貯蔵量を大きく減少させます。
 
次にホルモン面では、妊娠中から授乳期にかけてエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が低下します。エストロゲンには骨吸収を抑制する働きがあるため、この低下によって骨が溶け出すスピードが速まります。特に授乳中は、プロラクチンというホルモンの影響でエストロゲンがさらに抑制されるため、骨密度の低下が加速しやすい状況になります。
 
加えて、副甲状腺ホルモン関連タンパク(PTHrP)という物質が授乳中に増加し、骨から積極的にカルシウムを溶かし出す作用も報告されています。こうした複数の要因が重なることで、PLOのリスクが高まります。

PLOの症状とは?

PLOの最も代表的な症状は、腰椎(腰の背骨)や胸椎(背中の背骨)の圧迫骨折に伴う痛みです。骨粗鬆症による圧迫骨折は、必ずしも転倒などの強い外力がなくても起こり得るため、「いつの間にか骨折」とも呼ばれます。
具体的には以下のような症状が現れることがあります。
 

  • 産後から続く腰痛や背中の痛みで、改善しない
  • 立ち上がるときに鋭い痛みが走る
  • 背骨周辺に限局した圧痛(押すと痛む感覚)
  • 身長が以前より低くなった、背中が丸くなってきた

 
これらの症状は育児中の筋肉疲労や姿勢の問題と混同されやすいため注意が必要です。特に「産後2〜6ヵ月以内に急に腰や背中が痛くなった」「安静にしても痛みが引かない」という場合は、PLOの可能性を念頭に置いておくことが大切です。
なお、PLOによる圧迫骨折は複数の椎体に同時に起こることもあり、骨折の程度によっては日常生活への影響が長期化することもあります。

PLOになりやすい人は?

PLOはすべての妊産婦に起こるわけではなく、特定のリスク因子を持つ方に発症しやすいとされています。以下に代表的なリスク因子を挙げます。
 
まず体格面では、もともと細身でBMIが低い方は骨量の絶対値が少ない傾向があり、PLOのリスクが高まりやすいとされています。
また、若い頃から骨密度が低めであった場合や、過去に骨折の経験がある方も注意が必要です。
食生活・生活習慣面では、カルシウムやビタミンDの摂取不足、喫煙習慣、運動不足が骨密度の低下を助長します。
妊娠中の食事制限(つわりによる偏食など)が続いた場合も、リスク要因となり得ます。
また、授乳期間が長いほど骨へのカルシウム動員が続くため、長期授乳がリスクを高める一因になることも報告されています。
ただし、これは授乳を制限すべきということではなく、授乳中の栄養管理が重要であることを意味します。
 
さらに、家族に骨粗鬆症の方がいる場合や、過去に無月経(月経不順)の期間が長かった場合も、骨密度が低くなりやすい体質的な素因として挙げられます。
PLOは複数のリスク因子が重なることで発症リスクが高まるため、心当たりのある方は注意深く自身の体の変化を観察することをおすすめします。


よくある質問

Q.妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)は、授乳をやめれば自然に治るのですか?

 
授乳終了後、多くのケースでは骨密度が自然に回復していくことが知られています。ただし、回復の速度や程度は個人差があり、骨折が生じていた場合はその治癒に時間がかかることもあります。「自然に治るから大丈夫」と判断せず、骨密度の変化を専門医のもとで経過観察することが大切です。

Q.産後の腰痛はよくあることと聞きますが、どのような場合にPLOを疑うべきですか?

 
産後の腰痛は育児姿勢や筋力低下が原因のことも多いですが、「安静にしても痛みが和らがない」「特定の動作で突然強い痛みが出た」「痛みが背骨の一点に集中している」といった場合は、単なる筋肉疲労ではなくPLOによる骨折の可能性があります。このような場合は整形外科での画像検査(X線やMRI)と骨密度測定を受けることをおすすめします。

Q.PLOの診断はどのように行われますか?

 
主に骨密度測定(DXA法:二重エネルギーX線吸収法)を行い骨粗鬆症の診断を行います。
骨折に関してはX線・MRIによる骨折の有無の確認によって診断されます。また、血液検査や尿検査で骨代謝マーカー(骨の代謝状態を示す指標)やカルシウム・ビタミンD・ホルモン値なども確認されます。
整形外科では、これらの検査結果を総合的に判断して診断を進めます。

Q.PLOは次の妊娠・出産に影響しますか?

 
PLOを経験した方が次の妊娠を希望する場合、再び骨密度が低下するリスクがあ離、再骨折のリスクは10~20%程度の報告が海外ではあります。
事前に整形外科や産婦人科で骨密度の回復状態を確認しておくことが重要です。
骨密度が十分に回復していない段階での妊娠・授乳は、骨折リスクをさらに高める可能性があります。
次の妊娠を考える前に専門医へご相談いただくことをおすすめします。


産後の腰痛や背中の痛みが長引くとき、「育児で疲れているだけ」と自己判断で済ませてしまうことは少なくありません。しかし、その痛みの奥にPLOによる骨の変化が潜んでいることがあります。
 
あわ整形外科クリニックでは、産後の骨の状態についての相談や骨密度測定にも対応しております。
妊娠授乳関連骨粗鬆症の治療経験豊富な当院にて気になる症状がある場合は、まず一度ご相談ください。

監修/あわ整形外科クリニック院長 阿波康成
整形外科専門医/骨粗鬆症認定/産前産後整形外科医
 

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