整形外科コラム
medical Colum
膝が痛くて歩けない…それ、変形性膝関節症かもしれません
このコラムで学べること
⚫︎変形性膝関節症って?
⚫︎痛みを悪化させる習慣
⚫︎治療の方法
階段を下りるとき、立ち上がるとき——膝がズキッと痛む。「年のせいだから」と放置していませんか?
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、膝の軟骨がすり減ることで痛みや変形が生じる疾患で、日本では推計2,500万人以上が罹患していると言われています。早期に適切な治療を始めることで、手術を回避しながら日常生活の質を大きく改善できます。
変形性膝関節症とは?
膝の軟骨・半月板・骨が徐々に変形・損傷し、痛み・腫れ・可動域制限を引き起こす慢性疾患です。
膝関節は大腿骨・脛骨・膝蓋骨の3つの骨で構成され、骨の表面は関節軟骨で覆われています。軟骨はクッションとして衝撃を吸収し、骨同士が滑らかに動けるようにする役割を担っています。
加齢や体重負荷などにより軟骨が摩耗すると、骨同士が直接ぶつかり合い、炎症・痛み・変形が生じます。これが変形性膝関節症のメカニズムです。
なぜ変形性膝関節症になる?
加齢・肥満・筋力低下・遺伝的要因が主な原因です。特に女性は閉経後に発症リスクが高まります。
主なリスク因子
- 加齢:軟骨の水分量・弾力性が低下する
- 肥満:体重1kg増加で膝への負荷は約3〜6kg増加する
- 筋力低下:大腿四頭筋の衰えが膝関節の安定性を損なう
- 女性ホルモンの減少:閉経後に軟骨保護作用が低下する
- O脚・X脚などの骨格的アライメント異常
- 過去の膝のケガ(半月板損傷・靭帯断裂など)
- 重労働・スポーツによる過剰な膝への負荷
変形性膝関節症の患者数は女性が男性の約2倍。閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)減少が軟骨の代謝に影響するほか、
もともと骨盤が広くO脚になりやすい体型的な特徴も要因の一つとされています
どんな症状が出ますか?
動き始めの痛み・腫れ・こわばりから始まり、進行すると安静時にも痛み、脚が変形します。
症状の特徴
- 朝や動き始めに膝がこわばる(ウォーミングアップ痛)
- 階段の昇降・正座・しゃがみ込みで痛みが強まる
- 膝が腫れ、熱感・水がたまる(関節水腫)
- 長時間歩くと膝が疲れてくる
- 膝を完全に伸ばせない・曲げられない(可動域制限)
- 進行するとO脚が顕著になり、歩き方が変わる
- 重症では安静時・夜間にも痛む
こんな症状があればすぐ受診を
- 膝が急に大きく腫れ、熱感が強い(化膿性関節炎・痛風の可能性)
- 突然、膝がガクンと崩れる(靭帯損傷・半月板損傷の可能性)
- 夜間の強い痛みが続く(腫瘍・骨壊死の可能性)
※ 上記は変形性膝関節症以外の疾患が疑われます。早急な診察が必要です。
どのような検査をするの?
当院の診断の流れ
- 問診:痛みの部位・期間・増悪因子・日常生活への影響を確認
- 視診・触診:膝の腫れ・変形・圧痛・可動域を評価
- レントゲン検査:関節の隙間(関節裂隙)の狭小化・骨棘を確認
- 超音波検査:関節水腫・軟部組織の炎症を確認(当院で対応)
必要に応じてMRIを近隣の病院でお願いすることがあります。
治療にはどんな方法がある?
まず運動療法・薬物療法・注射などの保存療法を行い、改善しない場合に手術を検討します。
① 運動療法・リハビリ
変形性膝関節症の治療の柱は運動療法です。大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)を中心に強化することで、膝関節への負荷を分散させ、痛みを軽減します。
当院では理学療法士と連携し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた運動プログラムを提案しています。
② 薬物療法
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):炎症・痛みを抑える内服・外用薬
- アセトアミノフェン:胃への負担が少ない鎮痛薬
- オピオイド:慢性疼痛に対して作用する薬。
注射療法
- ヒアルロン酸注射:関節内の潤滑を補い、軟骨保護・炎症抑制に働く。
- ハイドロリリース:周辺の靭帯に対して行う癒着を剥がす注射
装具療法
- 足底板(インソール):矯正により膝への偏った負荷を軽減
- 膝サポーター:関節の安定性を補助
自宅でできることは?
体重管理・筋力維持・膝への負荷軽減が三本柱です。毎日の習慣が進行を遅らせます。
日常生活でできること
- 【体重管理】BMI25未満を目標に。体重1kg減で膝の負荷は約3〜6kg軽減される
- 【筋力トレーニング】椅子に座った状態で膝を伸ばすだけの「膝伸ばし運動」を1日3セット
- 【歩き方】小股・かかとから着地・膝が内側に入らないよう意識する
- 【杖の使用】痛みが強い時期は健側(痛くない側)の手で杖を使い、患側の負荷を30〜40%軽減
- 【入浴】ぬるめのお湯(38〜40℃)でゆっくり温め、血行を促進する
- 【和式生活の見直し】正座・しゃがみ込みはできるだけ避け、椅子・洋式トイレに切り替える
よくある質問
Q.変形性膝関節症は完治しますか?
すり減った軟骨が自然に元に戻ることはありませんが、適切な治療と生活習慣の改善により、痛みを大幅に軽減し進行を遅らせることは十分可能です。多くの患者さんが日常生活を支障なく送れるレベルまで回復しています。
Q.ヒアルロン酸注射はどれくらい効きますか?
個人差がありますが、痛みが軽減する方が多く見られます。軟骨を直接修復するものではなく、関節の潤滑・炎症抑制が主な効果です。効果が続く期間は数週間〜数ヶ月程度で、定期的な投与が必要になる場合があります。
Q.運動すると余計に悪化しませんか?
適切な運動は変形性膝関節症の進行予防に非常に重要です。「痛みが出ない範囲」「関節への衝撃が少ない」運動(水中歩行・自転車・椅子上の筋トレなど)を選ぶことがポイントです。痛みが強い急性期は安静を優先し、落ち着いてから運動を再開しましょう。
Q.手術は必ず必要ですか?
必ずしも手術が必要になるわけではありません。多くの患者さんは運動療法・注射・薬物療法などの保存療法で日常生活を維持できます。手術が検討されるのは、保存療法を6ヶ月以上続けても改善しない、または歩行が著しく困難な重症例が中心です。
Q.膝の再生医療は効果はありますか?
すべての方に効果が認められるわけではありませんが、高い確率で症状の改善が期待できます。
また、前後のリハビリテーションにより膝周囲の筋力強化を行うことが重要であり、これによって膝をより長く良い状態で保つことが可能となります。
当院では、PRP注射による膝の再生医療を行っております。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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